一人10wの法則

バンドのライブ、特にサークルのバンドやアマチュアバンド(一部インディーズ含む)のライブで、客席、フロアが盛り上がっていてバンドもいいテンションで演奏が出来ている状態、この時って多分演者とオーディエンスのパワーバランスが取れている状態なんやと昔から思っておりましてですね…

えーちゃん(矢沢永吉)が言ってたらしいんですが「お客さんのパワーをアンプのパワーで押し返す」との事です、そりゃステージが10数人vs何万人ですしアンプの力借りないと勝負になりません。

対してアマチュアバンドのライブは爆音なのにお客さんポツポツ状態も多く見受けられます、これはあまりにも一方的、タコ殴りと言うかなぶり殺しと言うか、ホント良くないですね、ポツポツ来てるお客さんも次から来るかどうか…

自分がそうなんでわかりますが、たまに少人数でも周りの目を完無視して自分だけで楽しめるオーディエンスの方も居てます、あくまで”たまに”の偶発的な希少種ですのですべてのオーディエンスにそれを要求するのは横暴かと思います。

また、軽音楽部、軽音サークルが教室や講堂などで普段の練習用機材を使って自主ライブをする時(PA機器レンタル等せずに音量が足りない場合)、小規模ながら思いの外(ほか)楽しい事があります、学生ノリが手助けしている事もありますが音量や照明の物足りなさも何故か面白く思えてくるので不思議です。

ここでよくある流れは以下となります。

少人数で盛り上がる→楽しそうなので人が増える(行列が行列を呼ぶ様に増殖)→演者も客席もだんだん聴こえ難くなる→客席は歯止めが効かなくなりバカ騒ぎ、演者はもうまともに聞こえない(不満蓄積)→次回はPAを増強→爆音となり少人数では盛り上がらない→見た感じ盛り上がってないから人が寄って来ない→PAを縮小→フリダシに戻る

これ1〜3年周期だったりするから気づきにくいよね、部員、サークル員も年々入れ替わっていくし。

ちょっと話し逸れますが、部やサークルなどは小規模社会が生まれ、不自然な流れも発生し易いように思います。「俺ら演るとき盛り上げてな」「あの曲演るから暴れてな」等の年齢や立場的に上の人から言われる事が多いこれらのフレーズ、言われた方は素直に楽しめなくなりますよね、ってか折角かっこいい事をやろうとしてるのに無粋な事言って自らダサくする必要あるんです?

こういうのもほにゃららハラスメントと言われそうな昨今ですね。

では話し戻ります。

上記はPA機器をレンタルした場合としてシミュレーションしてますが購入して増強した場合は縮小せずに盛り上がらないまま続くパターンもありますね、何年か経ち機器が壊れ出してパワーバランスが取れる事もあります、これは偶発なので再現性が低い。

大事なのはバランス、音量と活気のパワーバランスです。アーティストやPAに求められるのはその繊細なバランス感覚、オーディエンスが特に何も考えずに楽しめる状態を作るべきやと思います。

そのバランス感覚の基準になるものとして…

ここからは持論展開になりますがアマチュア、インディーズ、サークルライブ系のライブではアンプや楽器の音量10wに対して一人のオーディエンスというのが目安になるんちゃうかと思います、なんとなく、かつ大雑把ですけどね笑

自分がオーディエンスとして、演奏者として、PAとして、照明として、ブッキングマネージャーとして長い間フロアを見てきた上での大まかな目算なんで多分大きくは外れてないはず。

トランジスタギターアンプでは定番のJC-120、120w出力となっていますがそれは最大の話しで実際アンサンブルで使える音量としては40〜60w程度の出力で使用していますよね?つまりギターアンプだけで4〜6人はオーディエンスが必要となる。

ベースアンプはひとまずHartke HA3500辺りを基準にしましょうかね、3500なんで350w、ただしこの数値4Ω時なんで実際は8Ω稼働が多く240wが最大です。コレも最大出力はアンサンブル崩壊を招きます、定説としてギターアンプの倍の出力と言われてるので80〜120wくらいかな?オーディエンス8〜12人。

ドラムは生楽器の段階で相当な音量が出せてしまいます、アンサンブル時のギターアンプの40〜60w出力時と同じくらいは出てるので40〜60wと仮定して4〜6人。

ベーシックなギターロックバンドの各アンプと生楽器のみ(PAによるSR(増幅)なし)でオーディエンス16〜24人相当。

コレに最低限ボーカルは出力しないといけないわけです、帯域的にギターアンプとドラムが近いのでそれより聴こえるように少し出力を稼ぐと50〜70w必要、さらにライブハウスでは演者に向けたモニタースピーカーからも声などを出すんです(箱の造り的に中の音が外に聴こえない時は加算しなくていいかもね、スピーカーの向きでかなり変わるし)。オーディエンス5〜7人追加です。

SR無しで21〜31人のオーディエンスが必要となる計算です。

ちなSRとはSound Reinforcementの略、増幅です、ざっくり言うと。

PAはPublic Address、元々が演説などを大きくする「拡声」ですね。

普通ライブハウスではこれだけにとどまらず、サブウーファーやらで低音を追加(低音再生にはかなりパワー必要なんでいきなり1000w増えたりもザラです)、なんなら全部SRしちゃうぞ的な流れですね。

そら300人キャパとかになるわ。

ここで言いたいのはその出力でオーディエンスの数とバランスが取れてるの?いつの間にか現場は演者やPAの自己満足に嫌々付き合ってる状態が当たり前になってません?それ続けてたら当たり前のようにオーディエンス減るんちゃいます?

そら立派な機材あるとこでしょぼい音でPAするのは悪印象になるでしょうし客入りに比例して機材替える事もリニアでは無理でしょう、ここまで染み着いた先入観を払拭するのは容易ではない。でも誰かがやらねばならんと思うんですよね。

スポーツでも一方的な試合より接戦の方がはるかに面白いですよね、それと似てるんかもしれないですね。

ライブシーンでもこのバランスが培われていくのを願うばかりです。

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